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2024/10/08

トランスボーダーサイエンスキャンプを開催しました(2024年9月24日-25日)

2024年9月24日-25日にTRiSTARフェローおよびプリフェローを対象としたサイエンスキャンプを開催しました。

本プログラムでは所属機関・研究分野を超えた交流を行うことにより、多様な分野を専門に持つ研究者との人脈の拡大と、自己研鑽による自らの研究課題に対するインスピレーションの獲得を進めることを目的として実施し、第1期~第4期及びOBフェロー・プリフェロー21名、ゲストコメンテーター1名、主催関係者13名の計35名が参加しました。さらに、オンラインにてゲストスピーカー1名をお招きししました。

 

 

プログラムの概要

今年はテーマを「生成AI」とし、異業種、異分野の交流を通じ、自身の中にあるアンコンシャスなバイアスへの気づきを踏まえ、自身の研究進展や研究環境改善も含めて生成AIの活用余地を探索しました。

 

1. アンコンシャスなバイアスへの気づき

  • 事前課題Ⅰ】 無意識のバイアスに気が付こう
  • 事前課題Ⅱ】 自分の分野での生成AIの活用状況を把握しよう

自身のなかにあるアンコンシャスなバイアスに気づくことを目的に、事前課題Ⅰとして、Selective attention testImplicit Association Testという2つの事前課題に取り組んでいただきました。

 

2.研究者の相互理解と自身の強みの気づき

  • 3分間スピーチ
  • ポスターセッション

分野の異なる相手との相互理解を通じ、自身の専門性について俯瞰的視野から振り返っていただくことを目的に、サイエンスキャンプに初めて参加するフェロー・プリフェロー及びゲストコメンテーターの13名に、キャンプ冒頭に1人3分間での自身の研究紹介を行っていただきました。

 

 

また、過年度のキャンプ参加者も含め、参加者全員がポスター発表を行いました。異なる専門を持つ研究者に向けた発表、そして、異なる専門を持つ研究者からの質問に答える、という2つの経験を通じ、専門深化力、俯瞰力の育成がはかられたと感じた参加者が多くいたようです。

 

3. 生成AIの研究活用

  •  ゲストスピーカー1名による話題提供

ゲストスピーカーには、日本IBM株式会社 技術理事 倉田岳人様をお招きしました。

倉田様からは「オープンなAIの推進」をテーマに、生成AIに関する最先端の企業の取組と世界的な競争状況をお話しいただきました。

 

基調講演

日本IBM株式会社 技術理事 倉田岳人様による基調講演『オープンなAIの推進』

 

4. 企業との共鳴場 – Cutting Edge in Campus

  • Shimadzu Tokyo Innovation Plaza 施設見学

サイエンスキャンプ1日目の会場をご提供いただいたShimadzu Tokyo Innovation Plazaの施設見学を行いました。

最先端の研究設備や装置を備えた「魅せる」ラボ空間を見学させていただきました。この見学会を目的にキャンプに参加したフェローもいたようで、見学を通じ、自身の研究室設計やラボマネジメントに応用できそうな、刺激をたくさん得たようです。

 

施設見学風景

企業との共鳴場 – Cutting Edge in Campusの風景

 

5. オープンスペーステクノロジーをもちいた対話と共感の場

  • グループダイアローグ

日常から離れた「場」において、研究者同士のダイアローグ(対話)を促進する場(座談会の場)を提供しました。研究環境整備WGにより提示された前テーマだけでなく、研究者からもテーマや問いが発案され、研究時間、子育てと研究の両立、研究と評価、ラボ運営、研究者として生きるうえでのウェルビーング、等について、たくさんの対話と共感が生まれました。

 

対話と共感の場

対話と共感の場

 

6.研究への生成AI活用に向けたアイデアソン

  • 個人ワーク
  • グループワーク
  • 発表

研究進展や研究環境改善も含めた生成AIの活用余地を探索すべく、まずは、個人ワークにより頭の中を全部出し切る、という経験をしていただきました。その結果、59個ものアイデアが誕生しました。これらのアイデアに対し、持ち点5票を各自が投票し、具体化を進めるアイデアを、倫理審査AI、秘書AI、画像AI、異分野融合AI、答えを言わないAI、の5つに絞り込みました。

 

決定されたアイデアに対し、自身の関心、モチベーション、自分の持つ能力、を踏まえチーミングいただき、共創と融合を目指したブレインストーミングをしました。自身の専門分野の枠を超え、新たな研究の展開を可能にする他分野の知見をお互いに見出し、対話を通じてさらに発想を広げることで、トランスボーダーな共同研究の提案や新しい時代の学術分野の構想など、多彩なアイデアが生まれる場となりました。 全体のセッションを通して、他の研究者の考えや姿勢から大いに刺激を受けることができ、参加者からは有益な学びの場であったとの声が多く聞かれました。

 

参加者の声
  •  学会とは異なり,普段交流する機会の少ない,他領域の研究者とたくさん議論ができて,楽しい!
  • 何事もそうですが、良い機会にできるかどうかは自分次第だなと思います。異分野の方と積極的に交流することなど、用意して頂いた貴重な機会を利用していかに自分の成長の種をつかむように行動できるかが大切だと思います。
  •  非常に密度の高い2日間でした。日常の業務に忙殺され、参加するかどうか悩みましたが、参加して本当に良かったと思います。